福岡　投資詐欺被害取扱　弁護士　是枝秀幸

高率配当（月１％以上や年１０％以上）

投資詐欺の可能性が高いと考えられます

仮に適正な投資であれば、配当は事業活動で得られた利益を前提としますから、配当を出すということは各種経費を支払ったうえで配当金額以上の純利益を残す必要があります

そして、高率配当（月１％以上や年１０％以上）を出すということは、各種経費を支払ったうえで月１％以上や年１０％以上の純利益を残す必要があります

通常、事業活動において、月１％以上や年１０％以上の純利益（売上総利益ではない）を継続的に出すことは、極めて困難なことです

ここ数年の日本の上場企業で配当が年１０％以上の企業は、毎年０社～３社程度の超大手企業に限られていますし、同一の企業が高率配当を継続しているわけではありません

ちなみに、不動産については、利回りが年１０％程度のこともあるようですが、これは表面利回り（売上総利益）であり、実質利回り（純利益）は数％に留まるようです

投資詐欺に関する裁判例においても、裁判所が、高率配当（月１％以上や年１０％以上）について、「荒唐無稽」と表現したものがあります

時々、「海外投資なら月１０％でも低い」「仮想通貨なら年１００％でも低い」等と、客観的・合理的・具体的な根拠もなく堂々と極端な数字を持ち出すことで、あたかも月１％以上や年１０％以上が高率でないかのように印象付けて、勧誘する事例もあるようですが、心理術を悪用した詐欺的なトークにすぎませんので、惑わされないようにする必要があります

紹介ボーナス

投資詐欺の可能性が高いと考えられます

仮に適正な投資であれば、配当は事業活動で得られた利益を前提としますから、配当を出すということは各種経費を支払ったうえで配当金額以上の純利益を残す必要があります

そして、通常、紹介ボーナスは、直接紹介ボーナスと間接紹介ボーナスがあり、合計すると被勧誘者の投資対象への投資額の１０％を超える金額になることが多いようです

通常、事業活動において、配当や紹介ボーナスに応じた利益（通常、投資額の１０％を超える金額になる）を継続的に出すことは、極めて困難なことです

また、紹介ボーナスは、勧誘者Ａが被勧誘者Ｂへ投資を勧誘して、被勧誘者Ｂが投資対象へ投資した後、被勧誘者Ｂが勧誘者となり他者Ｃへ投資を勧誘して、当該他者Ｃが投資対象へ投資することで、被勧誘者Ｂが紹介者となり投資対象から紹介ボーナスとして得るというものです

投資の勧誘は、業として行う場合、通常、金融商品取引法２条８項規定の「金融商品取引業」または同条１１項規定の「金融商品仲介業」等にあたり、同法２９条や６６条の規定により、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、これらの業務を行うことはできないとされています

被勧誘者が勧誘者となり他者へ投資を勧誘するのであれば、場合によっては内閣総理大臣の登録を受ける必要がありますが、通常、紹介ボーナスにおいてその旨の説明がされることはないようですから、紹介ボーナスは無登録営業を前提としていることになります

元本保証や損失補填

投資詐欺の可能性が高いと考えられます

元本保証とは、「後日出資の払戻として出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うことを示すこと」で、出資法１条により禁止されています

損失補填とは、「投資により投資家に損害が発生した場合には、投資対象または第三者がこれを補填することを約束すること」で、金融商品取引法３９条により禁止されています

そして、元本欠損の可能性については、金融商品販売業者等は、顧客に対し、元本欠損が生じるおそれがある旨を説明しなければなりません（旧金融商品販売法４条）

なお、「元本保証ではないが第三者が保証する」「パンフレットには書けないが元本が保証される」等の勧誘も、元本保証や損失補填にあたるものと思われます

また、「元本保証ではないが、倒産隔離なので、損失は発生しない」のような、曖昧にしながらも元本保証であるかのような印象を与える勧誘も、注意が必要です

仮に適正な投資であれば、投資対象の不確実性（リスク）を負担して、利益（リターン）を受ける権利を購入しているのであり、リスクとリターンは均衡しているはずです

元本保証では、リスクとリターンが全く均衡しておらず極めて不合理であり、投資対象が投資家から元本保証とリターン支払の下で金銭を受け入れるメリットもありません

ちなみに、銀行の定期預金であれば、利率は極めて低く設定されていますが、預金保険機構により１０００万円を限度に保証されています

なお、債券（公債・社債）や外国債券は、満期全額償還が予定されていることが多いですが、信用リスク（外国債券については為替リスク等も）があり、元本保証ではありません

「必ず儲かる」と言われた

投資詐欺の可能性が高いと考えられます

仮に適正な投資であれば、事業活動で利益が出るかどうかや投資元本を維持できるかどうかは不確実性（リスク）があり、利益（リターン）を得ることができない可能性があります

また、「必ず儲かる」との勧誘は、断定的判断の提供として、金融商品取引法３８条や旧金融商品販売法５条により、禁止されています

なお、利益を得られたとの実績ばかり強調して、損失を被る可能性についてほとんど説明・言及しないことで、ほぼ必ず儲かるかのような印象を与える勧誘も、注意が必要です

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